オリビエーロ・トスカーニ

長い脚の若い女達が、また勝ち誇った若い管理職達が、ひとけの無い路上でキズひとつないピカピカのセダンを乗り回す。ブロンド巻毛の若いママが食器用洗剤で美しくなった滑らかな手で、一度も割れたことのないマニキュアの長い爪の手で、驚異のクリームを顔につけている。生理の経血は青空のようなスカイブルー、決してもれない赤ちゃんのおしっこのようなコバルトブルーなのだ。そうした現実の社会問題や個人の悩みとは無縁の広告が氾濫する状況は視聴者を欺き、見る者を現実から逃避させ愚かにするのだ。
-イタリアの写真家・ベネトン広告ディレクター(2003年3月に辞任) オリビエーロ・トスカーニの言葉-

なにを言っているのかわかりますか?
このトスカーニは広告業界でベネトン・ショックといわれる反人種差別キャンペーンをうった天才ディレクターですが、広告に対しても哲学をもっているんだね。
今のニッポン、ありえない家族が、無機質な微笑みをうかべて、現実感のないリビングで、生活感のない料理を食べ、空虚な商品の広告をしている。
家族崩壊が叫ばれて、核家族化が著しいのに、9人乗りのハコ車に家族がいっぱい乗っているのはTVコマーシャルの中だけだ。
現実の世界ではほとんどオクサマと子どもが二人で巨大なハコ車に乗ってる。
広告の効果か、オクサマの好みか?虚構の家族感だからガソリンが高くなるとこんなガソリンバカ喰いの重くて空力の悪いハコ車や、だれも4駆で悪路なんか走ったこともないカッコだけの4WDはすぐ売れなくなっちゃうのだ。
すべて広告の虚構だ。こんな世界がいやでアフガニスタンで人間の世界を生きたいという若者の気持ちはよくわかるんだよね。
本人も危険は承知のうえだったろうな。いや、人間の世界だから狂気があるのは当然なのかもしれない。
CG満載でありもしない虚構の世界を信じ込ませて、荒唐無稽な学芸会レベルのワカモノドラマを流して、アフガニスタンの悲劇をコメントする正義の味方顔するキャスター。
見ていてこの国の「現実」はいったいどこにいってしまったのか?と思う。
今世界で現実からいちばん乖離した国、これがニッポンなんじゃないかと思う。
トスカーニは10年前に来日し、日本を見てその危機感を予言している。それは明日紹介しよう・・。

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