いい本は、その中で何が書かれているかが重要なのではない。何がカットされ、何が書かれていないか、そこが決め手なのだ。
-[1835-1910] 米国の小説家 マーク・トウェインの言葉-
昨日、久々松本清張の短編でデビュー作、「西郷札」を読んだ。「さいごうふだ」じゃないよ。「さいごうさつ」と読むんだよ。正確にいうと小説を読む時間がないので、CDブックで読んだのさ!佐藤慶のナレーションでとってもよかった。みんな松本清張なんて読みますか?「砂の器」とかの大作ももちろんいいんだけど、短編もすごくいいよ。この「西郷札」ってのはね、明治維新のころの西南戦争のとき、敗退で財政的に苦しい西郷隆盛率いる薩摩軍が発行したお札のことだ。当然これ薩摩の敗戦とともに「紙くず」になるんだけど、これを政府が救済策で買い上げるって儲け話に巻き込まれた宮崎県は佐土原藩士、樋村雄吾(ひむらゆうご)と美しい義理の妹、季乃(すえの)の悲劇だ。バイカー修ちゃんは松本清張を読んで、マーク・トウェインの言葉を思い出した。この脈絡のなさ!とっぴな発想!自画自賛です。短編だけに時代背景の書き込みが足りないんだね。でも、それだけこの物語に引き込まれるんだ。この物語の明治の初めころってね、三菱の創始者・岩崎弥太郎が、ちょうどこんな藩のお札を政府が「お買い上げ」ってインサイダー情報をキャッチして、ひそかに買占め、それを政府に買わせて莫大な利益をあげ、それが三菱の基礎になったんだ。今で言えば立派な「インサイダー取引」ですな。そういう時代背景で世の中が投機に浮かれていた。今だけじゃないんだね。そういう時代背景の書き込みがカットされているだけに、古風な士族が巻き込まれていく悲劇ってのが悲しいんだ。これはすぐ読めるしオススメだよ。CDブックもいいものだよ!



お気に入り・リンク