2007年12月26日

ヴィクトール・フランクル

勇気と希望を一瞬にして失う事がどれほど致命的な事か・・・この収容所は1944年のクリスマスと1945年の新年の間の週に、かつてないほど大量の死者を出した。これは医長の見解によると、過酷さを増した労働条件からも、悪化した食糧事情からも、季節の変化からも、あるいは新たに広まった伝染性の疾患からも説明がつかない。むしろこの大量死の原因は、多くの被収容者が、クリスマスには家に帰れるという、ありきたりの素朴な希望にすがっていたことに求められる、というのだ。それによって一般的な落胆と失望に打ちひしがれたのであり、それが抵抗力に及ぼす危険な作用が、この時期の大量死となってあらわれたのだ。強制収容所の人間を精神的に奮い立たせるには、まず未来に目的を持たせなければならなかった。生きる目的を見出せず、生きる内実を失い、生きていても何もならないと考え、自分が存在する事の意味をなくすと共に、頑張りぬく意味も見失った人は痛ましい限りだった。そのようなひとびとはよりどころを一切失って、あっというまに崩れていった。
-[1905-] ユダヤ系オーストリア人の実存主義的心理学者 ヴィクトール・エミル・フランクル著 「夜と霧」霜山徳繭訳より

クリスマスのブログはまあ、例外なくハッピーな内容が多いよね。でもバイカー修ちゃんは違うのだ。クリスマスがいかに希望の日であるかってのを逆説的に語るフランクルのドキュメントでこれを真剣に考えよう。浮かれるのはそのあとでもいい。知らない人のために説明すると、こりゃナチスのアウシュビッツに入れられた医者のフランクル自身の体験だ。残念ながら彼の家族は亡くなってしまった。あの忌まわしいガス室で。明日は自分の番かもしれない彼らは、ゴルゴダのイエズスの再来だ。このさいユダヤ人がイエズスを認めるかどうかってのは別にしてね。「希望」が生きるうえでいかに大切かをフランクルの実体験は教えてくれる。極限も見たこともない口先だけのインテリが「方法論」だの「プロセス」だの「システム」なるものがあればすべてはうまくいくなんていいだすのだ。人間にとってもっとも大切なのは「尊厳」だろう。ナチスのようにわかりやすく破壊されなくとも、無関心という中でもそれは破壊されていく。昨今の異常な事件はそれを象徴するような出来事だね。2007年は・・・あまりよいことがない年だったように思うぞ。でもまあいいか!メリークリスマス!!

トラックバック

トラックバックURL:

コメント

くまさん!お久しぶり!
そうだよねえ。極限の状態で他人に手をさしのべられるか・・。また、自分自身を冷静に見つめられるか?
残念ながらバイカー修ちゃんはまったく自信がありません。僕自身、すぐに今の苦労から逃げよう逃げようとする弱さがあるんです。
情けないけどさ。これが事実なんだね。

  • バイカー修
  • 2007年12月26日 23:20

修ちゃん こんばんは。
環境に左右されずに希望を持ち続けるって 簡単なことではないですね。けれどそれができたら幸せだよね。
実際、アウシュヴィッツに於いてもフランクルのように自分というものを保ち続け生き残った人々もあった訳ですし。
自身の人生に希望を持ち続け、そのことで周りをも励まして生きていけたら最高だと思います。
希望って 心の中のものだから消すも消さぬも自分次第!!
捨てない覚悟と強さが必要なんだけどこれがなかなか、・・・ねぇ。

  • くま
  • 2007年12月26日 22:29

衛本クン、うまい!
子どもと過ごすクリスマス。大事だよねえ。
バイカー修ちゃんまだ仕事です。
いかんなあ・・はやく帰ろう!!
このブログは衛本クンのようなコメントからインスパイアされて育っていくんだ。
メリークリスマス!

  • バイカー修
  • 2007年12月26日 19:20

タクシーママ、アランの「幸福論」を読んでいるんだ。ではつぎの言葉を見つけるでしょう・・。「小さい子供がはじめて笑うとき、その笑いは全然何かを表現しているのでもない。幸福だから笑うわけではない。むしろ、笑うから幸福なのだと言いたい。」・・・だよね。タクシーママが幸福論を読む気持ち、よーくわかります。「幸せ」とは?それを考えだしたとき、人は不幸になる・・ともいう。不幸を知るとは幸せを知ることともいうな。
大事なことは愛する人に自分がどううつるか?だよね。

  • バイカー修
  • 2007年12月26日 19:14

私は、クリスマスのプレゼントを見て喜んでいた我が家の子どもたち共々幸せな1年であったと思います。でも今日の内容のように今の幸せな日々が永遠と続くとは限りませんよね!生きていることのすばらしさを感じることが希薄となった今改めて考えさせられました。「人生において天国の本質に目覚めている者は、地獄を体感した者でしかない。」今日のブログを見て私の頭にこの一文が浮かびました。

  • 衞本
  • 2007年12月26日 14:28

タクシーママです、おはようございます。
思う所あって、今、アランの「幸福論」を読んでいます。
バイカー修さんのクリスマスの切り口見事ですね。感動。

  • タクシーママ
  • 2007年12月26日 10:25

コメント入力フォーム

(朝礼ネタ・スピーチに名言コラム〜社長ブログ・今日の一言 にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

フォーム