生は教訓に満ちている。しかし万人にあてはまる教訓は一つもない、殺すな、盗むなという原則でさえ絶対ではないのだ。
-[1903-67] 小説家 山本周五郎 「赤ひげ診療譚~駆込み訴え~」より-
バイカー修ちゃんは山本周五郎が大好きです。その中でもこの「赤ひげ診療譚」は特筆ものだと思っている。この話をはじめて知ったのはじつは黒澤明監督の映画「赤ひげ」です。バイカー修ちゃんは黒澤の映画でもっとも好きなのがこの「赤ひげ」です。その次が「どん底」これはロシアのゴーリキー原作ですね。そして三番目が「七人の侍」です。高校生の頃、学校をサボって見に行ったこの「赤ひげ」ですが、学校サボって見る価値のあった映画だと思うぞ。このセリフは映画にも出てくる。原作にまさる映画はほとんどない。それは時間の制約で原作ほどには描けない宿命が映画にあるからだ。また映像は文字には勝てない。でもこの映画は杞憂な例だろう。山本周五郎を読んでいると、キリスト教的なものを感じるときがある。「人を裁くのは、罪を知らぬ人間だ。罪を知る人間は、決して人を裁かない」というセリフがある。これはマグダラのマリア(であろう)姦淫をした女が石打ちの刑で殺されようとしたときにイエスが言った「罪なきもの、まず石投げ打て」つまり、罪のないものから石を投げなさい。に通じる。結果、手に持った石を捨てみな立ち去った・・。今はどうだろう?人の罪を声をあげて言いたて、自分の不幸を嘆き、社会のせいにする。「赤ひげ」の中に出てくるエピソードはほとんど現代でも起こっている話のオムニバスだ。しかし、現代での話の終わりはまったく違ったものになるだろう。心を切り売りしてわずかな金を手にするわれわれは岡場所で身をひさぐ女性以下かもしれない。



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