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小津監督の映画には品行の悪い登場人物はでないですねえ。しかしこれは意味深い言葉ですね。小津さんが品性の低い人物を嫌うというより「小津天皇」だったという伝説があるように、彼の頭の中で映画はすべてが、まさしく「赤の魔法瓶」(確か「秋日和」に出てきた。要確認)の赤でなければならないのであって場所はここでなければならないという美学。まさしく様式美を重んじるこの人ならでは「品性」に劣るとは耐えがたきことであったろうことは想像にかたくない。しかし時代はおもしろい。品性が破壊されつくしたように見えるこの現代。過去にも元禄時代には女性用の長襦袢(じゅばん)を着てほっつき歩くパンクな連中が闊歩したのだ。斬捨て御免の時代にだよ。この後はまた様式美の時代が来る。いやもうその時代に入っているのかもしれない。時代の移り変わりはその中に生きている人間には見えないものなのだ。まさしく今がそうなのだろうと思うぞ。
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